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 コラム  第14回    2005.8.22

警察歯科医会のおはなし

 こんにちは。今回は更新が少し遅れてしまいました。 今、秋田からの新幹線の中でこれを書いています。この週末、警察歯科医会全国大会が秋田で開催され、それに参加した帰り道です。

 阪神淡路大震災の犠牲者身元確認の活動に、地元の歯科医たちが大変な活躍をされました。 それを機に大規模災害時に組織だった行動ができるようにと、各地で警察歯科医会が次々と発足しました。 歯科医師会の救護活動とは別に、地元警察の検視活動に協力することを主たる目的に組織されたものです。 私の所属する中央区の京橋地区でもいち早く平成10年に設立され、築地、中央、月島署管内活動を中心に、東京都や大学とも連携して活動しています。

 事件事故の検視協力のみならず、最近は家庭内暴力やネグレクト(育児放棄)に関する協力も行っています。 これらの活動に何故歯科医が必要なのか、皆さんピンとこないかもしれません。 検視において、体の中で最も硬い組織である歯はどんな状況下でも最後まで残り大きな決め手となります。 個人の特徴や治療履歴を根気よく捜せば必ず身元が判明するのです。 また、家庭内暴力においては、殴打によると思われる不自然な顔面の骨折や歯の破折を認めた時、 警察に報告し大学法歯学教室や各機関と共に再発防止に協力しています。 また、ネグレクトが疑われる場合、むし歯の多発や栄養不良等による口腔粘膜異常 (皮膚など外見上の変化よりも口腔内の変化が先に起こります)の察知観察を行います。 これは子供だけでなく要介護高齢者を含めた障害者にも当てはまります。

 今回も各地からの報告が出され、意見交換してまいりました。 中でも福知山線の脱線転覆事故の報告は、記憶に新しい分いくつかの考えさせられる点が浮き彫りになりました。 地上ではビルが密集し、地下では地下街、地下鉄が縦横に走る当地区は、緊急時への更なる対応策が必要だと知らされました。 我々歯科医のこのような出番がないことを祈りますが、事が起こった時は一分一秒でも早く始動できるよう、日々地道に研修、訓練に努めています。



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