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 コラム  第20回    2006. 2.20

入れ歯のおはなし

 この季節、暖かい日があったかと思えばまた冷え込んだりで、体調のコントロールが大変ですが、春が近い兆しでしょう。

 さて、先日保健所からの依頼で、高齢者の介護予防教室で口腔ケアについての講演をしてきました。 その時の受講者の中に、入れ歯でお困りの方が結構いらっしゃったのがとても気になりました。 入れ歯をずっと入れていると疲れてしまうので食事の時しか入れていない方、食事をすると入れ歯が浮き上がって下に食べ物が入り込んでしまう方、 話をしていると上の入れ歯が落っこちてくる方等、様々な悩みをお持ちの方たちでした。

 入れ歯には、いろいろな種類があります。大きく部分入れ歯と総入れ歯に分かれます。 更に部分入れ歯は、喪失した歯の部位によって分かれます。 つまり前後に歯が残っていて中間部分が欠損した場合と、後方に全く歯がない場合で、噛んだとき粘膜に加わる力がまったく異なります。 また、それが片側か両側かでも違いますし上下でも異なります。 入れ歯の種類は多種多様で、残っている歯の数や、部位などによって一つとして同じ形のものはありません。 当たり前の事ですが、良い入れ歯を作るには、診断と設計が大事です。

 入れ歯は、適正な診断と設計によって出来上がったとしても、お口の中に入ったらそれで完成という訳には行きません。 自分に合った入れ歯になるには、むしろこれからが大切です。粘膜の細かい適合は勿論、噛み合せの調節は、とても一回では終わりません。 調整をすることにより、しっかり噛める入れ歯が出来上がるのです。それは、患者さんにとっても歯科医にとっても根気のいる事です。 でもそれで、日に日に噛めるものが増えてくると、とても楽しくなります。 ですから調整の時には、どんな事でも伝えていただきたいのです。

 初めて入れ歯になった方は、慣れるまで多少時間がかかるかもしれませんが、途中で諦めてしまい痛いところや噛みにくい場所を避けて使っていると バランスが崩れてしまって、なかなか自分の体の一部になってくれません。

 そこで最近は,インプラントに挑戦して、夢よ再びと,自分の歯の時のように噛めたらと考える方や、勧める歯科医が増える傾向にあります。 以前にも書きましたがインプラントは、異物を体の中に植え込む手術をするのですから、よほどの覚悟と体力が必要です。 私は、なるべく侵襲の少ない治療法を選択したいと考えていますので、良い入れ歯を作りたいと思っています。

 また入れ歯は噛むためのものだけでなく、その方らしいお顔作りにも大きな役割を果たします。 なんでも美味しく食べられますとおっしゃってくださる患者さんの笑顔に会えると、こんなに幸せなことはありません。

 昨日、一昨日と国際歯科シンポジウムに参加して、インプラントの事や,再生医療の事などを勉強してきました。 少々疲れましたが、とても勉強になりました。再生医療の研究では、大変目覚しいものがありました。 今年初めの新聞紙上をにぎわせた韓国の研究者による捏造事件で、少し停滞するかとも思いましたが、研究者たちは、地道に着々と成果を出しています。 そのお話は、また今度致しましょう。


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