ライフサイクルのお話
今年の気候は、本当にどうかしています。梅雨が来ずにこのまま夏になってしまうのでしょうか。
コンクリートジャングルの銀座周辺でも、街路樹や雲の流れでいつも季節を感じています。
道行く人の服装でも季節の移ろいが見て取れます。
5月の連休前までは、皆さんコートを着て歩いていたのに、連休明けには上着を脱いでワイシャツの袖を捲って歩いていました。
こんな急激な気温差は、今まで経験したことがないように思います。
お年を召した方達には、余計辛いものがあるでしょう。どうぞお大切になさってください。
やはり人の体というものは、生まれ育った気候と同じ環境で落ち着くもののようです。
私は東京から出て生活をしたことがないので実感はないのですが、自分の体にインプットされた環境の土地で暮らすのが一番落ち着くのだそうです。
しかし最近の状況を見る限り、しのぎやすいところで生活するのが一番なのかもしれません。
春夏秋冬が3ヶ月ずつで一年が移り変わる日本で暮らせるのはありがたいことです。
生命のサイクルは、昔から3の倍数で区切ると良いとされています。
1分は60秒、1日は24時間、1年は12ヶ月、干支は12年で一巡りというように全て3の倍数です。
創傷の治癒も同じように考えられます。
たとえば、歯を抜いた後の事を考えてみましょう。
抜歯後の止血にガーゼを噛んでいただきますが、その時間は12分から15分です。
抜歯の前後から3日間は、感染予防のためにお薬を飲んでいただき、翌日のおよそ24時間後の治癒経過を観察して予後を判定します。
傷口を縫合した場合は、およそ6日後に抜糸をします。
更に2週間、つまり抜歯してから3週間後には、創面は粘膜で覆われます。
それから3ヶ月で抜いた歯の根があったところに徐々に骨が出来てきて、1年後にはすっかり骨が安定してしっかりと修復されます。
父も古くからこの点に着目して、老年医学の先駆者であった吉田寿三郎医博が作ったライフサイクルを表す図表に
3の倍数で区切った図表を作り、患者さんの年齢や生活背景を考慮した治療計画を立てておりました。
( 図:補綴臨床Vol.21 .6 1988.11. ライフサイクルを考えた歯科臨床 片山 博p667より )
この図表を見ながら歯の生涯を当てはめてみましょう。
胎生6週目に乳歯の芽ができます。生後6か月で初めての乳歯が下顎に生えてきます。
3歳で乳歯列が完成します。
6歳で最初の大人の歯いわゆる6歳臼歯の第一大臼歯が生え、12歳で第二大臼歯画生えて永久歯列が完成します。
18歳くらいになると親知らずがムズムズしてきます。
24歳頃には歯茎の位置が安定してすっかり大人の顔になります。
ここから48歳くらいまでを成熟期或いは壮年期といって人生の中で一番活発に活動できる時期を迎えます。
この先は、還暦を迎える頃までは向老期、或いは初老期で老化現象が現れ、生殖力も衰退し、歯や歯周組織にも変化が現れるようになります。
その後の衰退期或いは老年期には、筋力の低下に伴って摂食嚥下機能が衰えてきます。
しかしこれには当然の事ながら個体差はあります。
そして、日々のケアを疎かにしないで生活していれば、衰退曲線の傾斜が緩やかになる事は、言うまでもありません。
全ての事について、若い頃からの習慣がとても重要ですが、気がついた時から始めても決して遅くはありません。
皆さんも今日から頑張りましょう。
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