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 コラム 第41回     2007. 11. 27

歯で知る体の変化

  急に寒さを感じる、今日この頃です。 日本は、春夏秋冬がはっきりしていて、これが日本人のライフサイクルの源になっているように思います。 雲ひとつない、澄みきった青い空は、身も心も晴れやかにしてくれます。 歌舞伎座の瓦屋根から下ろされた「顔見世大歌舞伎」の赤い垂れ幕が、青い空とのコントラストで、とても綺麗に見えます。 今年も早いもので、あと一月を残すばかりとなりました

  私たち歯科医療従事者は、いつも患者さんの口腔衛生環境の改善に力を注いでいるのですが、 時には一生懸命努力しているのに問題が起きてしまうことがあります。 その多くは加齢変化によるものですが、季節の変化で突然問題が起こることも稀ではありません。 歳を重ねるごとに季節の移り変わりで生ずる問題が深刻の程度を増していきます。 寒い冬に歯を食いしばって歯周病が悪化したり、もともと内在していたものが一気に噴出するようにあちらこちらに症状として現れてきてしまいます。 それは、口腔だけにとどまらず、肩こりなど全身への影響も現れます。 しかも一過性の症状ではなく季節をまたいでいつまでも続いてしまうのも、加齢変化の特徴といえるでしょう。

  たとえば、食いしばった後、右下の奥歯が痛み出したとしましょう。 それを一時のことと我慢して、物を噛むのは左だけにしていたら、今度は左側が負担過重になって違和感を感じるようになります。 それからは、軟らかい物をなるべく噛まないようにして飲み込むようになります。 するとどんな事が起こってくるでしょう。第一に食べ物と唾液がよく混ざっていないために、胃での消化に時間がかかります。 胃もたれや消化不良が起こります。すると下痢や便秘になり、老廃物が体に蓄積されます。 新陳代謝が悪くなると、肥満や動脈硬化になりやすくなります。 他方躯体にも変化が起こります。左でばかり噛むと、顎が左に偏位してきます。 するとそちらのほうに首が曲がります。 首が左に傾くと重たい頭を支えている首から背骨にかけて右に左にとゆがみが出てきます。 続いて骨盤の左右の高さが変わって足がどちらかに傾いてしまいます。 そして体が倒れないように支える筋肉に無理な力が加わり、肩こりや腰痛にもなります。 まっすぐ仰向けに寝たとき左右の足の長さが違うのは意外とそんなところに原因があったりもします。 整体で骨盤を揉みほぐすと、一時はスッと背筋が伸びてすっきりするかもしれませんが、原因が取り除かれない限り、 整体やマッサージ通いが続くことになってしまうでしょう。

  ここまでは噛み合わせが原因で肩こりや腰痛の起こるお話でしたが、その逆のケースもあります。 たとえば、どちらか一方の足を怪我してかばい続けていると、逆の道を辿って今度は、噛み合わせに問題が生じることがあります。 症状として歯に不具合を感じますので、患者さんは歯科を受診します。 しかし、そのとき根本の原因を見極めずに直ぐに噛み合わせを調節してしまうと一旦は治まりますが、足が治らない内は、 場所を変えて次々と歯の不具合が生じることになります。 また、足が治った後、元の噛み合わせに戻すのは大変難しいことになってしまい、今度はまた噛み合せの不具合で腰痛が起きたりして、悪循環に陥ってしまいます。 なかなか難しいところですが、そんなときはストレス解消が必要ですから、秋の抜けるような青空の下、紅葉をめでに出かけてみるのも良いでしょう。

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