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 コラム 第113回      2013. 11. 29

この道一筋に

  いつの間にか冬になってしまいました。 父が暮らしていた群馬県榛名の家に行って水道を止めて水抜きをしてきました。 今は誰も住んでいないので、冷え込みで、水道管が破裂しないための予防策です。 東京に住んでいるとそんな事は考えられませんが、寒さ対策は重要です。車のタイヤもそろそろスタッドレスに履き替えないといけません。 安心して過ごすために、毎年冬になると必ず行っていることです。

  還暦の記念にと後輩からプレゼントされた本を読んで、日本人の誇りをくすぐられて喜んでいます。 その本の主人公は、人から何と言われようとも自分の信念を曲げずに人生を歩み、小さな会社から世界中の誰もが知る大きな会社を一代で築き上げた人でした。 良い商品をいかに安く速く確実に消費者に届けるかを信念として、誰も引き受けたがらない仕事を率先して請け負って、 手を抜かずきちんとやり遂げる事で信用と信頼を築き、困ったときにはあの人に頼もうと言われるようになったのです。 私はそのことにとても共鳴し、そしてこの本を私にプレゼントしてくれた後輩の心にも温かさのようなものを感じました。
その本とは、2013年本屋大賞第1位の「海賊と呼ばれた男」です。 本の中では国岡商店と言われているこの会社は、実際には出光興産の事で、 診療室の窓から見える歌舞伎座横の出光ビル(本の中では国岡館)が舞台となっている実話をもとにした小説です。 モデルとなった出光佐三氏はもう亡くなっていますが、登場人物たちの何人かはまだこのビルにいらっしゃるそうです。

  この本の舞台となった中央区は、父の愛した街であり、私の好きな街でもあります。 2020年に開催される東京オリンピックでは、ここに選手村やプレスセンターが建てられ、今までとはまた別の顔を持った街に生まれ変わることと思われます。 矢田区長さんがいつも仰っている、安心、安全、快適そして福祉の街中央区として世界から注目され、もっと素晴らしい街になることを願っています。 今年の6月まで私は地元の歯科医師会の理事を20年間続け、60歳になったのを機に退任しました。 中央区の地域保健事業に関わり、他の理事とともに区民、区の職員、医師会、薬剤師会の方たちと意見を交わして、様々な改革に携わってきました。 それを評価してくださったのでしょうか、今月3日に中央区より区長賞をいただきました。 開業医が何年もそんなことに関わって馬鹿じゃないのと言う人もいましたが、 この20年間というものは良きに付け悪しきに付け私を成長させてくれた時間でもあったと思います。 開院40周年の記念に作った本の表紙に記した「この道一筋に」と言う題名は、私の理想でもありますので、 信念を曲げないという生き方を見習ってゆきたいと思います。


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