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 コラム 第124回      2014. 10. 28

歯の破折のお話

  秋も深まり、いつの間にか肌寒さを感じるようになりました。 今年は、例年よりも上陸する台風が多く、雨風による自然災害が各所にもたらされています。 異常気象という言葉が、まれな表現でなくなった様にも思います。 皆様、気象情報にはくれぐれも気を付けてお過ごしください。

  日本人が歯を失う理由のトップ3は、歯周病、重度の虫歯、破折です。 始めの二つは早期に治療を受けることで、歯を失わずにすむようにできますが、歯牙の破折だけはなかなか難しいようです。 歯が割れるのは様々な理由があります。 歯が割れるということは、破壊的な外力が歯に加わることで起きる現象です。 加齢とともに歯質が硬くなり、脆くなってしまう変化がこの現象に拍車をかけます。 破折の多くは食事中に起こりますが、寝ている間の歯ぎしりや食いしばりでも起きます。 有髄歯といって神経のある歯が破折すると、割れた瞬間に激烈な痛みがおこります。 しかし、無髄歯といって神経のない歯で破折が起こってもなかなか気が付きません。 この場合は、割れたところから細菌が入り込んで、化膿してはじめて歯が歯折していることがわかることもあります。

  近年インプラント治療が普及するにつれ、抜歯後に入れ歯や前後の歯を削ってブリッジを入れることを 好まない傾向が見受けられるようになっています。 インプラント治療に積極的でない私としては、もう一つの選択肢として再植という方法を採ることがあります。 これは割れた歯を抜歯し、接着してまた元に戻す方法です。 歯の根が割れて化膿した場合には、以前は抜歯するしかありませんでしたが、生体親和性の接着剤が開発されたことで再植の生着率が向上しています。 この方法により以前は保存不可能と診断されていた歯でも再び復活する可能性が増えました。 破折した歯の全てに使えるわけではありませんし、接着が剥がれないようにしなければなりませんので、無理は禁物となります。

  抜歯か再植かいずれにしても外科手術となりますので、あまり硬い物を食べすぎないよう心掛けましょう。 そして、噛むとき無理な力が加わっているところがないか、また極端に摩耗している歯がないかを定期的にチェックする必要があります。 虫歯や歯周病に注意するのと同様に、歯の破折にも注意して、加齢とともに無理をしないことが大切です。


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