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 コラム 第136回      2015. 10. 29

定年を迎えたお話

  各地から冬の便りが届く頃となりました。 東京の紅葉はまだ先のようですが、肌寒く感じる日もあります。 季節の変わり目は体調を崩しやすいですので、十分ご注意ください。

  さて私事ですが、今年の12月で予備自衛官の定年を迎えます。 そのため、10月の初めに行われた、招集訓練が最後となりました。 毎年5日間の訓練に参加して、多くの貴重な経験をさせていただきました。 自衛隊中央病院を退職してからおよそ20年ぶりに予備役に入り、3任期9年間予備自衛官として勤務してまいりました。 私の所属は、東京地方協力本部の衛生職種予備自衛官で、招集訓練時は、朝霞駐屯地にある東部方面衛生隊でした。 9年前には30名弱の参加者だった訓練も年々増えて、今回は130名近くが参加していました。

   もともと予備自衛官は、自衛隊に1年以上勤務した経験のある者が対象でした。 しかし、10年ほど前、自衛官として勤務した経験のない人も、試験を受けて訓練に参加したのち審査に合格すれば予備自衛官になれるという、 予備自衛官補制度が出来ました。 今では、衛生職種も予備自衛官補出身者が、8割以上になっています。
   自ら進んで予備自衛官になった方たちの士気は高く、熱心に訓練を受けています。 開業医、歯科医、病院勤務の医師、薬剤師、看護師が殆んどですが、中には大学の先生もいらして、 同じ部屋で寝泊まりしながら訓練を受け、多方面の方たちと知り合うことが出来ました。

  予備自衛官は、有事・保安・災害派遣等で常備自衛官が出動した際、手薄になった駐屯地業務を引き継いで、守るのが主な任務です。 しかし、近年予備自衛官の任務も多様化し、後方支援のみではなくなりつつあります。 東日本大震災の際、初めて予備自衛官も災害派遣に招集され、私の所にも2日後の3月13日、待機命令の電話がありました。 このとき実際に招集された予備自衛官は、後方支援ではなく、被災地において常備自衛官とともに活動しました。 私たち衛生予備には招集命令は出ず、7月に解除命令が出た後、当時の北沢防衛大臣から、感謝のお手紙をいただきました。 防衛省の中でも衛生予備を重要視しており、常に方面衛生隊員と一緒に訓練を受け、お互いの知識を吸収し合いながら、 いつでも一緒に行動できるようになっていました。

  今回の訓練の打ち上げで、予備の仲間と常備の隊員から胴上げされ感無量でした。 今後は、得難い経験を共にした彼らを外から見守り、応援していきたいと思います。 そして、彼らが災害派遣以外に赴くことのない日本であり続けてくれることを、皆で一緒に祈りましょう。


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