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 コラム 第180回  2019. 06. 28

虫歯予防にフッ化物

梅雨に入ってからの気温の乱高下や、亜熱帯気候を思わせるような天気の変化は体にこたえます。 日本の四季は、もうなくなってしまったのでしょうか。 加えて、地震や豪雨災害など、天災も続いています。 特に被災地の皆さんには、健康の維持に気を付けて、お体を大切になさって下さい。

さて、最近患者さんから、歯磨き後の洗口についてよく質問されます。 NHKの番組で、スウェーデン発の情報として歯磨き後の洗口は軽めにするか、そのまま飲み込んでも構わないとの放送があったようです。 私は番組を見ておりませんので、「ためしてガッテン」という番組の情報を、ネットで検索してみました。 5月8日放送で、イエテボリテクニックが紹介されたと記載されていました。

フッ化物含有の歯磨き粉の効果については、1980年代から1990年代に盛んに研究されていました。 フッ化物の虫歯予防効果に関する研究はもっと古く、1940年代から1950年代に盛んにおこなわれ、 歯のエナメル質の結晶がフッ化物に触れた部分でフッ素を含んだ固い結晶に置き換わることが分かりました。 そして、むし歯を減らすためには、フッ素をどういう物質とどんな割合で化合させれば有効なのかが研究されました。 その後1960年代から1970年代には、エナメル質の再石灰化のメカニズムが発見され、フッ化物を取り込みやすい方法も編み出されました。 歯磨き材にフッ化物を含有させると効果が高いことも証明され、フッ素入り歯磨き粉が多く販売されるようにもなりました。

その中で、スウェーデンにあるイエテボリ大学を中心に考案されたのが、番組で紹介された方法です。 歯を磨いた後に嗽をし過ぎると、歯磨き粉に含んだフッ化物の効果を減衰させてしまうだろうという発想から編み出された方法です。 イエテボリテクニックは虫歯予防効果に関しては理にかなっており、確かな効果が立証されています。 しかし、これに加えて年に何度かの検診と予防処置(プロケア)が、大切だという事を忘れてはいけません。 自分では完璧だと思っていても磨き残しや、歯ぐきの問題などを定期的に診てもらうことが大切です。 本院でも父の代から、定期的に健診の時期をお知らせして、ほとんどの患者さん方がご来院されています。



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