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 コラム 第189回  2020. 03. 27

成果は出るお話

桜も満開で、気持ちの良い春となりました。 ようやく寒い冬から抜け出して、普段ですとお花見を楽しむ時なのですが、今年はコロナウイルスのことでそれどころではない状況です。 先月も同じことを書きましたが、このような時には不要不急な外出を避け、屋内では温度、湿度を保ち、換気もしながらまめに掃除をすることが大切です。 外出時には、マスクをしましょう。マスクは咳エチケットとともに呼気の湿度を保つのにとても有効です。 マスクの品切れが続いていますが、手作りマスクでも効果がありますので工夫してください。 外出時には、私は手袋を着用し帰宅したら玄関ではずし洗濯しています。太陽光や乾燥機でしっかり乾かして毎日使っています。 手袋をしていると手に意識が働くもので、やたらにあちこち触れなくなりますので皆様にもお勧めいたします。 そして手洗い、顔洗い、歯磨き、うがいを励行して下さい。 うがいは意味がないともいわれてもいますが、うがいをすることで口腔内の余分な細菌を洗い流し、肺につながる粘膜を健康に保つことができます。 パンデミックになってしまった今こそ、一人一人の心がけが何より大切です。 それが自分だけでなく社会全体を守ることになりますので頑張りましょう。

さて昨日、日本歯科医師会から、8020運動30周年記念誌が送られてきました。 自分が歯科医師になったおよそ40年前には、虫歯や歯周病で歯を失う方がとても多く、咬める義歯を作れる歯科医は腕が良いと言われていた時代でした。 その頃の統計では、80歳以上の日本人に残っている歯の数は平均7本でした。 また、幼児歯科健診や学校健診でも虫歯を持つ子が多く、3歳児で虫歯ゼロの子は3%に満たない数でした。 その状況を何とかしたい、歯周病や進行した虫歯も抜かずに残したいとの意識が私たち歯科臨床医の間で高まり、再生医療の研究効果も出てくるようになりました。 更に歯科保健衛生の立場でも、同じ思いが強くみられるようになりました。 子供のころからの習慣づけができるように、様々な場所で歯科の啓発活動を行うようにしました。 そして80歳で20本の歯を残そうという目標が掲げられたのです。

こうして始まった日本歯科医師会の8020運動を、当時の厚生省も認めるようになり、歯を守ることが全身の健康につながり、 医療保険費の削減にもなるということから、平成3年には成人歯科保健推進事業として国の支援協力が始まりました。 そして平成13年には、国のスローガン「健康日本21」の中に歯の健康が加えられました。 医科と歯科との連携で心疾患、糖尿病、歯周病研究が盛んになり、例えば、 細菌性心内膜炎や心臓弁膜症の原因は口腔内細菌が血行性に心臓に付着して起こされることが明らかになりました。 また、糖尿病の人は傷の治りが悪く、歯周病を悪化させる原因になることも分かりました。 この様な事実を講演会やテレビCMで流すなどの啓発活動を行いました。 そして30年たち、8020運動の目標は見事に達成され、現在は80歳以上の50%以上の人が、20本以上の歯を保持されています。 3歳児健診でもほとんどの子が虫歯ゼロになりました。

これだけの結果をもたらした日本人はすごいと思います。 なぜここまでの成果をもたらすことが出来たのか、記念誌に書かれていた具体的な数値で分かります。 1日3回以上歯を磨く人13.0%から27.3%に、年間砂糖消費量22.7sから16.6sに、フッ化物配合の歯磨き剤普及率45.1%から88.1%に、 定期歯科健診等の受診率17.4%から52.9%になったということが記載されています。 今後もますますこの効果は数字に表れてくることでしょう。


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