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第100回記念のお話
このコラムを書き始めてから、今回で丁度100回目となりました。
ホームページを作ることになり、普段治療中にお話できない歯科の事を患者さんにお伝えしようと考えたのが、このコラムの始まりでした。
100回一度も休まずよく続けたと思う反面、似たような内容が何度も出てきて、またかと思われたこともあったのではないかと反省します。
ただ、毎月書くにあたって、なるべく思い込みや間違いが無いように文献を検索するようにしています。
その上で、吟味して自分の思いを述べるようにすることを心がけています。
そんな考えでこれからも続けてゆきたいと思いますので、ご意見を頂きますようどうぞ宜しくお願い致します。
さて今月の話題は、また歯周病についてです。歯周病の原因は、汚れと噛みあわせの不具合が主だという事を以前にも書きました。
最近は、テレビのCMでも歯周病に罹った歯をそのままにしておくと、歯を支えている骨が溶けて、
しまいには歯が抜けてしまう病気だという事を動画で説明しています。
私のコラムでも第93回のときに図解してお話しました。
歯周病で失われた歯を支える骨は、再生しないというのが過去の常識でした。
なぜなら歯周病に罹っている歯茎の内側は、ポケットと言われる細菌の住みかになっています。
ですからそこはもう体の内部ではなく、外部になってしまったのです。
その為に体の内部組織の骨がそこに再び出来る事は不可能だったのです。
しかし、今の再生医療は、それを克服しつつあります。
一度は外部に露出してしまった歯の根の表面をきれいにして、細菌の進入しない環境を作り、歯の周りに歯根膜組織を誘導することで内部組織を作り、
その周りに骨を再生させることも可能になっています。
しかし、口腔内は無菌にすることが出来ないために、健康なヒトよりも細菌数が多い歯周病患者さんの口腔内で、
その技術がどれほどの効果をもたらすか不確実なところです。
そこで以前に、歯の蘇る話でご紹介した東京理科大学の辻先生の研究のように、
歯周組織ごと歯を再生させる方が利に適っていると、私は思っています。
ここに来て、再生医学がにわかにクローズアップされ、とうとうノーベル賞の対象になるところまで来ました。
今回京都大学の山中伸弥先生がiPS細胞の培養に成功したという事で、ノーベル医学生理学賞の受賞となったのでした。
山中先生たちのグループが、ヒトiPS細胞の培養に成功したのは僅か5年前の2007年のことでした。
今後、難病などで苦しんでいる世界中の方々が、この技術で救われるケースも少なくないでしょう。
どんな組織をも作り出せるこの研究には、倫理問題も含めて、臨床応用は慎重に今後の研究成果に期待したいと思っています。
開業医は、常に最新知識を収集しておかないとなりませんが、これを応用する際には石橋を何度も叩いて渡るようにしないとならないとも思っています。
歯周病に罹っている方は、再生医療に期待しながらも、ご自分が歯周病になってしまった原因をなくすよう、
つまりよく歯をお掃除して進行を食い止めて、その上で実用化を待つことにしましょう。
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10月の歌舞伎座 (2012/10/23)
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